庭付き分譲マンションを、キッチンを中心とした開放的な大人の空間にリフォームした《深沢の部屋》
数年住んだからこそ見えてきた理想の空間。限りあるスペースを最大限有効活用できるよう工夫に満ちた、ふたりのためのオーダーメイドの部屋をご紹介します。
家で過ごす時間が好きな夫妻。広いバルコニーと専用庭が使える恵まれた住環境の分譲マンションを購入して数年の間にドアを換えたりタイルを貼ったり、自分たちで手をいれてきた。しかし、ふたりが理想としていた「開放的で光あふれる無垢な素材を使った大人の部屋」は、やはり自分たちだけでは実現できないと感じ、インターネットでリサーチをはじめた。そして、シンプルで素朴なデザイン、古い素材や昔の工法を好んで使う〈スタジオダックス〉のスタイルに「ここだ!」と感じ、連絡をとった。
どんなHouzz?
住まい手:夫妻+犬2匹
所在地: 東京都世田谷区
種別:SRC造の分譲マンションリフォーム
設計:〈スタジオダックス〉田中賢二
延床面積:約60平方メートル
竣工/リフォーム年:2003年/2012年
間取り:1LDKS(S:ウォークインクローゼット)
どんなHouzz?
住まい手:夫妻+犬2匹
所在地: 東京都世田谷区
種別:SRC造の分譲マンションリフォーム
設計:〈スタジオダックス〉田中賢二
延床面積:約60平方メートル
竣工/リフォーム年:2003年/2012年
間取り:1LDKS(S:ウォークインクローゼット)
キッチンに立ち、ワイン片手に自分たちのために料理を楽しむふたり。リフォーム前のキッチンはクローズドキッチンで、使い勝手が悪かったため、明るく、開放的なオープンキッチンにした。元々物を多く持つタイプでないため、シンプルなオープン収納と、引き戸で隠せるパントリーを配置。
オープンキッチンなのでリビング・ダイニングで使っている素材と同じ、〈スタジオダックス〉の定番素材であるパイン、古いレンガ、珪藻土を使った。重厚なレンガ壁が、リビング空間とオープンキッチンをつなぎ、全体を馴染ませている。背面収納もキッチンらしくない造作で空間全体の調和を図った。
カウンタートップはメンテナンスと大人の空間であることを意識してステンレスのシンク一体型の特注だ。カウンター下部の引出しキャビネットや調味料キャビネットは、既存のキッチンキャビネットを再利用してコストを抑えた。面材をパイン無垢材に交換するだけでふたりの好みに生まれ変わった。このマンション標準装備のディスポーザーやキッチン水栓なども既存のものを再利用して費用を抑えながら、以前のキッチンからの使い勝手のよかった部分を維持している。
カウンタートップはメンテナンスと大人の空間であることを意識してステンレスのシンク一体型の特注だ。カウンター下部の引出しキャビネットや調味料キャビネットは、既存のキッチンキャビネットを再利用してコストを抑えた。面材をパイン無垢材に交換するだけでふたりの好みに生まれ変わった。このマンション標準装備のディスポーザーやキッチン水栓なども既存のものを再利用して費用を抑えながら、以前のキッチンからの使い勝手のよかった部分を維持している。
続いて注目したいのは水まわりだ。空間と予算を節約するため、ユニットバス、洗面、トイレ、ランドリーをまとめた4 in1スタイル。設備すべてを1ヵ所にまとめるのは、限りある空間を有効利用するテクニックのひとつ。夫婦ふたり暮らしの空間ならではの提案だ。バスルームの扉は、あえて透明のガラスを使い、圧迫感が出ないようにしている。
来客のなかにはホテルスタイルのトイレに「落ち着かない」との声もあるようだが、夫妻はまったく抵抗がない。写真右手のチェッカーガラスを入れた小窓から光を取り入れ、小窓を開ければ水まわりの湿った空気を逃すことができる。入口ドアは以前のプチリフォーム時に取り付けた既存ドアを移設して再利用した。
リフォーム前は、造り付け収納の中に無理矢理PCやプリンターを置いてワークスペースにしていた夫妻。自宅での仕事や、趣味の写真編集のために、田中さんは、ダイニング横、窓際の光がたっぷり入る場所に、デスクを設置した。プリンターや煩雑な配線などをテーブルの下で処理できる工夫をし、椅子はダイニングと兼用のため、部屋全体の雰囲気を壊さず、すっきりと見せている。
奥行きのある一般的なマンションの間取りは、外部に接した明るい窓際にリビングスペース、そして部屋の奥に寝室がレイアウトされる傾向にあるが、このプロジェクトでは逆転させている。朝、気持ちよく目覚めるために、光あふれる特等席にあえて寝室を配置。来客時には引き戸を閉めることもできるが、ふたりのときは開けて開放感を出している。
収納が見当たらないと思うかもしれないが、できるだけ家具を置きたくなかったふたりのため、田中さんはウォークインクローゼットを玄関のすぐ横に配置。洋服や雑多なものをまとめて1ヵ所に収納するのも、限りあるスペースを広く使うテクニックだ。
収納が見当たらないと思うかもしれないが、できるだけ家具を置きたくなかったふたりのため、田中さんはウォークインクローゼットを玄関のすぐ横に配置。洋服や雑多なものをまとめて1ヵ所に収納するのも、限りあるスペースを広く使うテクニックだ。
部屋の奥にあたる三方囲まれた空間がリビングスペースだ。田中さんは、オーナー夫妻のライフスタイルを踏まえて、“動” の活動はダイニングキッチンだけで十分と考えた。リビングはテレビを見たり、本を読んだり、ソファでうたた寝したりする “静” の空間。心落ち着く大人の時間を過ごすことができる。「とはいえ、ときには光や風を感じたいもの。そこで、写真左手の両開き窓で光を取り込み、窓を開ければ寝室から通り抜けた風を感じることもできます」と田中さん。
緑にあふれ、バラやあじさい、紅葉などが四季折々の風景を楽しませてくれる専用庭。ウッドデッキは腐食していたため、新しく敷き直した。見せたくない空調の室外機もデッキ材で隠し、既存の木製手摺も再利用している。
田中さんは、経年変化を楽しめる自然素材を使ったノスタルジックな部屋づくりを大切にしている。そのうえで、縁のあったオーナーたちの感性や要望を叶えるオーダーメイドの空間づくりを進めていくと、自然と1つ1つ形の異なる新しいものが生まれていくという。
最近も取っ手を破損したという連絡があり、夫妻を訪ねたそうだ。「完成したときと何も変わっていませんでした。変わっていないというのは快適だということでしょう。時を重ねて自然素材がいい色合いに変化していたのが嬉しかったですね」。
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田中さんは、経年変化を楽しめる自然素材を使ったノスタルジックな部屋づくりを大切にしている。そのうえで、縁のあったオーナーたちの感性や要望を叶えるオーダーメイドの空間づくりを進めていくと、自然と1つ1つ形の異なる新しいものが生まれていくという。
最近も取っ手を破損したという連絡があり、夫妻を訪ねたそうだ。「完成したときと何も変わっていませんでした。変わっていないというのは快適だということでしょう。時を重ねて自然素材がいい色合いに変化していたのが嬉しかったですね」。
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厳しい管理規約や、マンション独自の設備、構造ゆえにできること、できないこと、そして現実的に予算内でできるプランを最初に提示した田中さん。理想からは程遠いプランを見て現実を知ったふたりだったが、妥協することなく田中さんに意見をぶつけた。その結果、当初考えていた予算をオーバーしても時間をかけてイメージ通りにフルリフォームすることになった。